2005年1月2日日曜日

Monteverdi マドリガル



http://www.amazon.com/Monteverdi-Ottavo-Libro-Madrigali-Vol-1/dp/B000005W5F

2005年1月2日
早速だが、このCDをここに残しておきたい。Monteverdiについて研究するにあたって、いろいろなCDが推薦されていると思うが、私の現在のテーマには、このCDがもっとも興味深い例をそろえている。これは、Monteverdiが1620年代から温めていた、新しい形式が実に良く表現されているもので、いわゆるstile oncitatoがデモンストレートされている。もともとはオーストリアのフェルディナンド二世にささげられたものだが、公式に出版されたのは、フェルディナンド三世の時期になってからで、三十年戦争の勝利を内容に加えて出版された。興奮した形式と呼ばれるが、もともとは、百年前に過ぎ去ったヒューマニズムの流行にのっとって、ギリシア古典時代のピリキウスの典型的戦争舞踏のリズムを再生しようとすることをモンテヴェルディは試みた。全音を十六分音符に分解することによって、興奮に対する音楽的表現を作り出したと言える。しかし本当の意味でのオリジナリティーは、モンテヴェルディが愛の詩の間にこそ、この戦争的リズムを取り入れたことにある。この時期の詩は、愛に敵対心を持って歌われることが多く、心を守る防御の壁を打ち破るものが愛だとされている傾向が見られる。その愛による心の乱れの部分に、この新しいスタイルが戦争的リズムをとって取り入れられ、いわゆる、メタファーとしての役割を果たしていると言えよう。つまり、愛によってかもし出される興奮を戦争的リズムが表しているといえる。このメタファーの使用、ギリシア古典の伝統の再使用などは、典型的なヒューマニズムの動きであり、1450年から150年にわたって、最盛期を迎えていたこの活動がすっかり過ぎ去ったあとに、Monteverdiが、もう一度このようなものを取り入れたことは、興味深い。彼は、実際、ルネッサンスに終焉の鍵を渡した人間で、バロックへとつないだ作曲家である。それが、こうして古典から生まれだした新しいスタイルを発展させたことによって、音楽史上、全く新しいディメンションが生まれたことは実に素晴らしい現象だ。 色々な録音も出ている模様だが、私はこのCDを強くお勧めしたい。学問的な興味が無くても、非常に美しい曲がそろっている。チェンバリスト兼指揮を受け持つRinaldo Alessandriniは、Monteverdiの第一人者と言っても良く、素晴らしい音質で録音され、スタイル的にも、他の音楽家の質も、素晴らしい出来上がりだと思っている。決め手はテンポ感で、速すぎても、遅すぎてもいけない。それには、エポックのスタイルを熟知している必要があり、彼はその点で素晴らしい感覚を見せていると私は思う。ルネッサンス時代の歌曲がすべてそうであるように、詩が躍り出るように前面に出て、音楽がその内容を更に強調するような解釈がなされなくてはいけない。その実力をアレッサンドリーニ率いるEnsemble Concerto Italianoは最大限に発揮している。音楽と詩が織り成す、魔術的とも言える、命のみなぎりと、力強さの効果はここで十分に証明され、これらがMonteverdiのもっとも生き生きとした作品に属することが分かるだろう。


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